相田 ひろみ (あいだ ひろみ)
Hiromi aida

新現美術協会50年史掲載(2000年12月刊行)

1998年6月、私はニューヨークで個展を開催した。その昔3年程N.Y.で暮らしていた間に絵画やシルクスクリーンを勉強していたので(といっても主人の留学についていったのだが・・・)当時の友人たちのすすめで私のアートの出発点、N.Y.での個展が実現した。N.Y.での個展の形式は日本とは少々異なる。アメリカ在住のアーティストは大体どこかのギャラリーと契約をしていて、そこで個展を開くようだ。

日本からのアーティストは、日本人経営のギャラリーで開くか、自分の作品に興味を示してくれるギャラリーを探して交渉すると言うことになる。私の場合はN.Y.の友人が交渉して、ソーホーのSPACE・UNTITLEDという、昔の倉庫を改造した天井の高いギャラリーで開くことが出来た。約1ヶ月前に作品を送り、初日の2日前に会場を訪れたら既に作品が荷ほどきされ会場にきちんと展示されていたのにはびっくりするやら、感無量だった。

湿度が低いので額の裏側のパネルがそってきてあわてたが、日本に戻ったら又、元通りになったのには2度びっくりした。オープニングパーティで「アメリカ人は議論好きだから、絵のことより日本の文化について聞いてくるよ。三島由紀夫の”菊と刀”とか読んでおくといいよ」といわれて、”わあ、大変!”と心配しましたが余り難しい質問もなくほっとした。というよりわからなかったのかもしれないが・・・

4週間の展示が無地修了し、大変良い経験と成果を得ることが出来て満足しているが、次回は他人任せにせずに、苦労しながらも自分の意見を通しながらやってみたいと考えている。「プロのアーティストは1ヶ月前には現地入りして、プレスまわりをしたりするんだよ。」と聞いた時には”そんな大変なこと、とても・・・”と思ったが、後になって考えてみると理解出来た。

- back -