畠山 信行 (はたけやま のぶゆき)
Nobuyuki Hatakeyama

新現美術協会50年史掲載(2000年12月刊行)

「新現展50回展とこれからの展望」

世界の美術の流れの中でもこの50年は興味深い。現代美術の出発点である<抽象表現主義>・「非定形」から未知の可能性を探ろうとした<アンフォルメル>作らない芸術<ヌーヴォレアリズム>は物体、行為で現実を直接的に表現した。 そして現代美術は<ポップアート>として大衆の中で魅力ある作品を生んだ。ミニマルアート、概念芸術・・・。今日人間と物質の関わりは複雑に細分化した表現となった。

-35年前-
私は中学時代に油絵を始め、毎週の様にキャンバスを片手に、山や海に風景を描きに出かけた。「蔵王を描く会」に参加し、菅野廉先生に出会った。又、一番丁のフジヤ画廊の画廊主である佐藤好子さんに出会いお世話になった。この画廊で佐藤多都夫先生の抽象画に遭遇したのである。 そしてこの頃、丸光デパートで初めて「新現展」を観た様に記憶している。中学生であった私にはそれらの作品は非常に衝撃的だった。キャンバスの中で色が線が激しく飛び交い、自由な作者の感覚が新鮮に映った。抽象、具象関係なく人間が息づきまさに<生>への実感が伝わってきた。今もその時のスケールの大きさを思い出すことができる。

-現在-
会員となり10年以上経ち、第50回記念展に向かおうとしている。新現会は会員すべて”同格”でそれぞれが現代美術を探求制作する。これは設立当初からの会の鉄則であると聞く。会員は個々の存在が会を造っていると自覚を持ち、互いに認め合い、又競い合っている。50年の先人たちの歴史は誇れるものである。 しかしこれからの新現会は先人たちがあった様に50年先を見通した新しい展開が必要であろう。2001年は新会場メディアテークで記念展を予定している。私はこの機会に新現会の”個人”を前面に出した企画を考えたい。展覧会では一般公募展の様な展示ではなく、素材、表現の多様化に則した方法が不可欠となろう。 これからの美術の流れからもっと個人的、独創的な作品が展示出来ることが望ましい。理想的に言えば個展の集合体を意識したい。これからの美術を導く会として新現美術協会はさらに成長発展する可能性に満ちている。

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