岡田 純子 (おかだ じゅんこ)
Junko Okada

新現美術協会50年史掲載(2000年12月刊行)

宮城県川崎町で制作活動を始めて早10年が過ぎてしまいました。作品の置き場所にと求めた土地だったのですが、住んでいた埼玉県入間市のもと米軍のハウスが古くなり、こわしてしまうという事で宮城にきたわけです。川崎町といっても山奥の奥でタクシーの運転手さんにも「この先に家があるんですか?」と言われたくらいの所でした。真暗な夜、鳥の声や風の音に驚かされながら2〜3年間は「東京のスモッグが吸いたい!」とか「ネオンが見たい!」などと東京方面に帰りたくてしょうがなかったのです。5年6年と住むうちに、山菜のおいしさ、とれたて野菜のおいしさ、水、空気のおいしさに目覚めてきました。ひょっこり出くわす動物や鳥たちの姿に感動し大地に目が近づいてゆくようでした。あたりまえに在るものがキラキラと透明な輝きを増し神秘を見せてくれる瞬間。全てがひとつながりだと感じます。神様はあちこちに宝物をかくしているようです。自分の心を透明にして(なかなかできないのですが)出会った宝物からいただくインスピレーションを形に結びたいと思っています。

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