新現美術協会50年史掲載(2000年12月刊行)
「ぼくにとってのSgt.Pepper's・・・」
音楽と絵画の関係について書かれた本をちょいちょい目にしますが、僕も絵を描くときにはよく音楽を聞いています。聞くジャンルも、そのときの気分や作品の仕上がり状態によってまちまちですが、僕にとって絵と音楽は切り離せないものになっています。
「Beatles」もよく聞きます。ちょうど、中学、高校頃の最も多感な時期にリアルタイムで体験をしたからでしょうか・・・。彼らのアルバムはもちろん全部好きなのですが、ライブ活動をやめてスタジオにこもって音作りに専念するようになった「ラバー・ソウル」以降のアルバムは特に惹かれます。現在ではもうほとんど解き明かされていますが、彼らがいろんな実験的な試みをしながらアルバムを創っていたことには今更ながらに驚きます。テープの逆回転、つなぎ合わせ、そしてマイクを回しながら音を拾ったり、色んな楽器を駆使したり、はたまた逆さになって歌ったり・・・。彼らのもの造りに対する姿勢については、今でも見習わないといけないなと勝手に思っているところです。
さて、僕が新現会に作品を発表するようになって、もう8年になります。毎年決まった時期にコンスタントに作品を発表できると言うことは実にラッキーなことですし、1年の総決算として地元で大作を発表できることは、この上ない喜びです。新現会には毎年何らかの自己規制というか、決まりというか、課題に自分に与えて作品を発表することにしてきました。例えば、今回はハッチングを用いないで描くこととか、今回はテクスチャーに凝らないで作品を創ってみよう、あるいはオブジェとしての絵画作品(?)を創ってみること・・・と言った具合です。自分の慣れた手法、得意な手法で作品を創り続けることの危険性を感じてとかいった大げさなことではなくて、やっぱり「Beatles」世代の1人として彼らの創作態度に恥じないようにってとこでしょうか。何らかの足かせをはめながら作品を創り続けることによってもっともっと自分の絵の世界が広がり、いつしかそれらを全部集めて、僕にとっての"Sgt.Pepper's
Lonely Heart Club Band"が描けたらいいなと思っています。
・・・・・ルーシーはダイヤを付けて空の上。
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