鈴木 昭子 (すずきあきこ)
Akiko suzuki

新現美術協会50年史掲載(2000年12月刊行)

線の動、面の静にこだわり続けてきた。続けてきただけで微々たる進歩もない。

情景と題してきたのには、2,3歳の頃、目に焼きついた風景があったからだと今になって気づく。色あせることなく私の中に映し出される風景。春の陽、若葉色の丘と田、青い空と心地よい微風、摘んだ小さな花束を握りしめ、丘から眺めている。

戦後、日本中が嘆き、怒り、焦燥感だけの敗戦国の時。それなのに私の中の風景は平和で温かかった。

世紀の終わりでか、自己の意志を呪縛されたかのような、理屈に合わないことが起こり、信じ難いことが起こり得る。これらも一つの周期が終わり新しい時期が始まる故か。

私の中の風景と現実の風景が対立し融合する。

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