高橋 暁子 (たかはし としこ)
ToshikoTakahashi

新現美術協会50年史掲載(2000年12月刊行)

現在私たちの祖先である人類の生活の跡などが日本列島のあちこちで発掘され、その都度そこには自然と共に豊かに生きた証としてすぐれた遺跡が浮かび感嘆させられる。しかし今から何千年後、何万年後に発掘されることがあればそこには現在の私達庶民の暮らした跡が残っているだろうか。残るようなもの、遺跡と呼ばれるようなものが発掘されるであろうか。科学的に保存目的に有効に残されるであろうものは別として。不勉強で稚拙な私の頭はそんなことを考え自分なりに危惧しているのである。そんな私が日に照らされ、風に吹かれ、雨に降られる自然の日々の現象を私の衰えかかった体(五感)で受けとめ、そこからゆっくり歩き、ゆっくり考え、ゆったり何かを表現できることを望んでいる毎日である。

- back -